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2013年 01月 14日 ( 1 )

レミゼラブル

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きょう1月14日は「成人の日」。
そして「愛と希望と勇気の日」でもあるらしい。

というわけではないけれど、
きのう映画「レミゼラブル」を見てきた。

ドリカムにレミゼラブルに、二日にわたって
魂を揺さぶられ、まさに今私は
愛と希望と勇気に満ち溢れている。
(いつまでもこの気分が続けばいいのにな!)






さて、「レミゼラブル」というと、
みなさまご存知のとおり
(知らない人もいるだろうけど)
「ジャン・バルジャン」という一人の男である。

私は「ジャン・バルジャン」の名を、
小学生の低学年からずっと知っていた。

物語の内容はほぼ憶えていなかったけれど。






昔、父親の友人で「松ちゃんのおっちゃん」と呼ぶ人がいた。

顔の彫が深くて端整で、もの静かで品があって、
おっちゃんの周りには独特な雰囲気があった。

独身で子供がいなかったおっちゃんは、
生まれたときから私を可愛がってくれていたのだと思う。

クリスマスや誕生日には、おっちゃんから
郵便でたくさん本が送られてきた。

おっちゃんは上六にあった、
骨董品屋のお店で仕事していた。

広い店。白くてつるつるした冷たい床。
古い壺や絵画があった。
子供ながらにおっちゃんには高貴な感じがした。

本人が経営してたのか勤めていたのか、
今もそんな店が存在するのかしないのか。

今頃どうしているのか、生きているのか死んでるのかも、
今となっては知りようもない。

どうしてうちのお父さんと仲が良かったのだろう、
学生時代の友達でもなさそうだし、よくわからない。
要するに周り近所(生野区)にはいないタイプだった。

おっちゃんと会ったときは、私は自分が阿倍野あたりの
お嬢さんになった気分がしてうれしかった。

両親から受ける愛情とは違った、
他人から何かとても大切にされている女の子の、
居心地のよさ。



おっちゃんからもらった本は、
「グリム童話全集」「アンデルセン童話全集」
「星の王子さま」や「赤毛のアン」「若草物語」
など、外国の本ばかりだった。

おっちゃんはけっして、
「本を読んだらかしこくなるからたくさん読みなさい」
「読んだら感想を聞かせなさい」
などと言う人ではなかった。

  

その中の一冊に、「ああ無情」という本があった。

私は「グリム童話」などは大好きで必死に読んだが、
「ああ無情」は途中で投げ出してしまったようだ。

タイトルの意味さえ子供の私にはわからない。

だけど、「ジャンバルジャン」という名前は、
強烈に私の記憶に残した。

たった一切れのパンを盗んだことも。
神父さんの食器を盗んだことも。
それを当然のごとくゆるした神父さんのことも。





お父さんもとっくに死んだし、
すっかり松ちゃんのおっちゃんのことは忘れていた。

しかたない、もう30年も前のことである。

だけど私は映画館でこの物語に再会して、
おっちゃんのことを思い出すことになる。

もの静かで端整な顔立ちの、
骨董品屋にいた「松ちゃんのおっちゃん」を。

友人の娘に素敵な本をたくさん贈ってくれた、
独身で子供のいなかった、一人の男のことを。

愛さていた、大切にしてくれた、という記憶を。




人も本も、結局、縁なのだと思う。

そしてまた、人も本も、
こうして記憶の中で再会できるのだと思った。














by meruchiko | 2013-01-14 00:00 | 映画 | Comments(2)