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ジャックの妄想



1月某日
ある日突然、ジャックの店の壁(婉曲したガラス部分)が改装され、
スケルトンだった店内にフィルムが張られ、中が見えなくなっていた。

「ヤッター!バンザ~イ!」私達の思いが通じたのか、
とうとう根負けしたのか、これからは通るときビクビクしなくてすむね、
気を使わずにすむね~、とGBスタッフ一同、手を合わせ喜んだ。

でかしたジャック、ありがとうジャック。
何ならそのリフォーム代、半分持ってあげてもいいくらい。(ウソやけど。)






1月某日
翌日、ドア部分も同じようにリフォームされる。
こちら側からは店内はほとんど見えなくなり、
おそらく向こう側からも見えなくなったと思われる。
お互いにとって、こんな素晴らしく快適なことはない。
五つ星ビルに平和が訪れた。戦争は終わったのだ。
めでたしめでたし。






1月某日   ジャック
オレの名はジャック。
オレは本当の酒の味を求める大人が集まる、
静かなバーを営むバーテンダーだ。

2年前、とある店が3階に引っ越してきてからというもの、
オレは相当悩まされ続けてきた。
日々繰り返される、ヤツらの喧騒や奇行。
そして昨年夏には放火未遂。
何度殺意を抱いたことだろうか。

オレは胃薬を離せなくなり、引っ越すことも考えた。
しかし、オレはヤツらよりも前からこの場所で、
たった一人で酒を作り続けてきた。
出て行くとするならば、お前達の方だ。

オレは苦渋の決断をした。オレの視界から、
ヤツらを抹消するべく、この店のトレードマークだった、
ガラスの壁をリフォームすることに決めた。
幸い、オレの親父は建築業だ。
ちょちょいのちょい、でリフォームは終わった。

だがもちろん、これでヤツらを許したわけではない。
ここはオレの聖域だ。そのことに変わりは、ない。







1月某日   オオニシの記憶
来たら必ず酔っぱらう常連3人組とともに、
私・トーコ・まさこ・あずみ・初見でお見送りにエレベーターで降りる。

この3人組がいつもやかましいので、ジャック店前で女子達が
「シー!シー!」と、3人が騒ぐのを制する。
しかし、その「シーーー!」の声の方がうるさく、
「シーーー!の方がうるさいわい!」と私がツッコミを入れ、
みんなおもしろがって何度もシーーー!を繰り返し、爆笑していた。
3人組もビル前からなかなか立ち去らず、何分か騒いでいた。






1月某日   ジャック
何かが違う。
目の見えない人は聴力が異常に発達するというが、
外が見えなくなってからというもの、オレの耳は敏感になったようだ。
気配を感じ、騒がしい声が聞こえる。
イライラする。
何をしてるのか、見えないので妄想が激しくなる。

またヤツらが降りてきた。
???これは何の音だ。
ジェット風船を飛ばしているのか?
勢いよく浮き輪の空気を抜くような・・・・・

違う。タイヤがパンクして空気が漏れているような、不愉快な音。
客が何の音かな?と訊く。ハハハ何でしょうね、と答える。

何をしているのだ!
み、見えん!!外が見えんではないか!!

オレはカウンターを移動して、
かろうじてドアの透明の部分から覗き見た。
女が4人、口をイー、の形にして「シーーー!シーーー!」
と言いながら笑っている。
何の儀式だ!新手の嫌がらせか!

シーーー、の音が頭から離れず、
その夜なかなかオレは眠れなかった。
気づくとオレはカウンターにいた。ドアが開き、
ヤツらが「シーーー!シーーー!」と言いながら、
無表情でオレの店に入ってくる。これは夢か?現実か?
タヌキが、タヌキの弟が、パイナップル女が、
幼稚園児や犬や白い服を着た女が、ぞろぞろと入ってくる。
やめろ!!うるさい!!シーーー!はやめろ!!
オレの聖域に入ってくるな!!
「シーーー!」「シーーー!」「シーーー!」・・・・・・・・

ゆるさん・・・・・!!!
絶対に、絶対に、ゆるさん・・・・・!!!






1月28日  PM6:00  オオニシ
店に荷物を置きに行く。ナリがまだ来ていないので、鍵を開けなきゃね。
あれ?ジャックとこ、ドア開けっ放し。掃除機でもかけてんのか?
あ、一番端っこにお客さんがいてる。何で開けてんねんやろ。
せっかくドアも見えへんようにしたのに、ほんまに変わったヤツだ。






1月28日  PM6:00  ジャック
来た!と思ったら、タヌキだった。今日はやけに早い。
しかしこいつに用はない。
この女は何をするかわからん女だ。
おとなしいと思ったら、突然凶暴に変身する。まさにタヌキだ。

しかもこいつは昨日の夜、オレが鍵をかけようといることに気付きもしないで、
「竹馬に乗って上から覗いたろか、アハハ~」と言っていた。
この女なら本当に竹馬に乗りかねない。
今日はオレのたった一人の友人、ダニエルをドア側の席に座らせた。
事の行方を静かに見守ってくれている。心強く、有難い存在だ。
もうすぐタヌキの弟が来るはずだ。






1月28日  PM6:45  ナリ
二日酔い&寝不足。
両手に買い物袋を提げ、ふらふらと歩き、やっと店にたどり着く。
あれ?ジャックとこドア開けっ放しやな。
客いてんのにアホちゃうか。
両手がふさがっているので、ひじでエレベーターのボタンを押した、
その時。











・・・・・・・明日に続く。037.gif



これまでのジャックと私達の物語はこちら

http://diary5.net4u.org/scr3_diarys.cgi?action=article&year=2008&month=2&day=1&cat=1034girlsbar

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by meruchiko | 2010-01-29 00:00 | 事件 | Comments(0)